■結露と空気と温度の関係
まず、結露がどのようにして発生するのかを確認することからスタートいたします。結露は皆さんの誰しもが身近で体験されているもの。例えば、ビールをグラスに注いだときグラス表面にできる水滴、これも結露現象です。空気が含むことのできる水蒸気の量は、温度によって異なります。空気は温度が高ければ多くの水蒸気を含むことができますが、低いときには少ししか含めません。
ある温度で空気が最大限に含むことのできる水蒸気を飽和水蒸気、そのときの空気を飽和空気と、それぞれ言います。その飽和空気をどんどん冷やしていくと、含まれている水蒸気が凝結し露となって現れます。この露が結露です。つまり、前述のビールグラスの例で説明するなら、25℃の環境下でグラスに5℃のビールを注げば、25℃の空気にふくまれる水蒸気はグラス表面で5℃近くに急激に冷やされ、露となって付着する、ということなのです。
■特に注意すべきは見えないところの結露
住まいにおいてもビールグラスと同じ状況があちこちで起きています。窓ガラスの結露、浴室の鏡の結露、壁紙の結露など。こうした”目に見えるところの結露”を「表面結露」と言います。これは拭くことで対処できますが、何と言っても怖いのは拭くことができない”目に見えないところの結露”。これを「内部結露」と言い、その代表としては「壁体内結露」が挙げられます。まさしく壁の中に発生する結露のことです。
水蒸気は、温度の高い方から低い方へ、相対湿度の高い方から低い方へ移動します。冬場、室内が温度も湿度も高い状態にあるのに対して、屋外は温度も湿度も低い状態です。このとき、室内の水蒸気が壁の中を通過して屋外に移動するわけですが、通過する際に温度が低くなって結露が発生してしまうのです。夏場はこれと全く逆の現象が発生します。いったん露となった水分は壁の中からなかなか抜けません。
■結露によって引き起こされる2つの害
「内部結露」は住宅・居住者にどのような害をもたらすのでしょうか?一つには住宅の耐久性の劣化が挙げられます。壁の中で結露が起きると、周辺の木材の含水率がどんどん高くなって腐朽菌が発生し、耐久力が著しく減少してしまいます。その結果、地震や台風の際に建物が倒壊してしまったりする可能性があるのです。
もう一つの害はカビです。壁の中の結露によって発生したカビは、胞子を撒き散らしてシックハウスの原因にもなります。